気まぐれ不定期日記

...... 2006年04月29日 の日記 ......
■ 神は何処に在られるか   [ NO. 2006042901-1 ]
久しぶりに人界に来てみると、人は天と魔の存在を忘れていた。

天使はもとより軽々しく地上に降りることはなく、魔界は封印されて2千年余り。
1世紀どころか、その半分すらまともに生きられない『人間』のほとんどは、いつのまにか魔の存在を信じなくなった。
ほんの一握りの者達だけが真実を伝え信じ続け、いつの日か再び訪れる魔を退ける術を磨き続けている。
また時折、魔に遭遇して存在を知る者もいる。
ある者はそのまま生命を絶たれ、運良く生き延びようとも、その恐怖に心を病む。
稀に魔に魅入られ、より深い場所へ堕ちる者もいる。
もっとも、自分はそういった輩のおかげで、今人界にいるわけなのだが。

今の人の有り様を見て、嘲るような笑みを僅かに浮かべる。
神は人を守り、魔を退ける。
それなのに、人は神への信仰を忘れ、その存在をも否定するものさえいる。
けれども、天に追われた魔の者たちは違う。
神への信仰心など欠片もないが、その存在を忘れることはない。
その存在を信じているのではなく、ただ、知っているのだ。
生れ落ちた、その瞬間から。
まったく、皮肉なものだ。
人よりも悪魔の方が、神を信じているとは。

…あれは、なんと思っていたのだろうか。
神を忘れ、魔を忘れ、異質を恐れ虐げる者達の事を。


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