気まぐれ不定期日記

...... 2006年04月08日 の日記 ......
■ 『君の背中〜』との対。2人が別れた後。   [ NO. 2006040801-1 ]
『スパーダ。』
名を呼ばれて顔を上げると、あの人がいた。
『どうした。歩きながら寝ちまったのか?』
 ……ううん。ちょっとぼんやりしちゃっただけ。
『そうか。…もう少し行くと泉がある。そこで少し休むか。』
いつもと、かわらない笑顔。それなのに、どこか違和感がきえない。
 ………どうして?
『え? お前、疲れてんじゃねえ?』
 ! あ、うん。あ…ありがとう。
口にしたつもりはなかったのに、声にでてたみたい。
『ほら、もうすぐだから。寝ぼけてこけるなよ?』
 寝てないってば!
当り前の様に差し出された手を掴もうと、自分もごく自然に手をのばした。


のばされた手を掴むことなく、スパーダは目を覚ました。
目の前には夢の中で目指していた泉がある。
前にも1度、ここに来た事がある。夢の中のように、彼に連れられて。
夢の中の違和感は、彼がいたからだった。
もう差し伸べられる手はない。
どれだけ探しても、見つからなかった。。
別れを告げられた、あの時から。


夢の中で見た後ろ姿は、もう見えない。



『見失った後姿』
配布元:ふりそそぐことば


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